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めぐみの想い

「ペットを飼う人が幸せであることの大切さ」

執筆者: 宮下めぐみ

公開日:

「ペットを飼う人が幸せであることの大切さ」

理事長  宮下めぐみ獣医師

私は日々の臨床現場で、「ペットを飼う人自身が幸せであること」の大切さを強く感じています。

その理由は、飼い主の入院や病気、災害、経済的な困難などによって、これまで当たり前に続いていたペットとの暮らしが突然維持できなくなり、「どうしたらいいかわからない」と相談を受ける機会が少なくないからです。

「幸せ」とは何か――その定義は人それぞれかもしれません。

ただ、あえてシンプルに表現するなら、「心と体の両方が健康であること」ではないでしょうか。
どちらか一方が大きく損なわれると、もう一方にも影響が及び、生活全体のバランスが崩れてしまいます。

そして、ペットの心と体の健康は、その多くが飼い主に委ねられています。

適切な食事や運動ができているか。
安心して過ごせる環境があるか。
楽しい遊びや刺激があるか。
苦痛や不安を抱えていないか。

動物たちは自分で環境を整えることができません。だからこそ、飼い主が整えてあげる必要があります。

私自身も動物と暮らす中で感じるのですが、動物たちは飼い主の表情や雰囲気の変化に驚くほど敏感です。
飼い主が穏やかで笑顔でいるとき、動物たちもどこか安心した表情を見せてくれます。

近年の社会情勢や報道を見ていると、そのような幸せな循環が途切れてしまっているケースが少なくありません。

多頭飼育崩壊もその一例です。

報道される現場を見るたびに、多くの方が「どうしてここまで追い込まれてしまったのだろう」「なぜ誰も気づけなかったのだろう」と感じるのではないでしょうか。私自身もそうです。

そして同時に、「この問題は今後さらに増えていくのだろうか」「私たちにできることは何だろうか」と考えます。
特に獣医療に携わる者であれば、その思いはより強いのではないかと思います。

もちろん、一人ひとりに異なる事情があります。家族構成、健康状態、経済状況、人間関係――背景はさまざまです。

しかし、その中で共通する要因の一つとして、私は「孤独」の存在を感じています。

困ったときに相談できる人がいない。
必要な情報にたどり着けない。
助けを求める方法がわからない。

そうして少しずつ社会とのつながりが薄れ、孤立してしまう。
その結果として、問題が深刻化してしまうケースも少なくありません。

一方で、ペットを迎えるきっかけそのものが「孤独を埋めたい」という思いであることもあります。

だからこそ、孤独を抱えた人ほど動物とのつながりを求め、その延長線上で多頭飼育やアニマルホーディングへと進んでしまう場合もあるのだと思います。

大切なのは、そのような状況になる前に気づくこと、そして気軽に相談できる場所が社会の中に存在することです。

私は、動物病院にはその役割を担える可能性があると考えています。

獣医師は動物を診るだけではありません。
病気の背景を理解するために、飼育環境やご家族の状況、日々の暮らしについてお話を伺うこともあります。

つまり、動物病院は動物と人、そして地域社会をつなぐ接点になれる場所でもあるのです。

もちろん、一つの病院だけで解決できる問題ばかりではありません。

だからこそ、動物病院同士の情報共有や、獣医師会、行政、福祉関係者との連携が重要になります。

a-handsは、こうした動物を取り巻く社会課題について、獣医療者を中心に考え、行動していく団体です。

動物の幸せを考えることは、飼い主の幸せを考えることでもあります。
そして、飼い主の幸せを支えることは、地域社会全体のつながりを育てることにもつながります。

7月5日に開催する平井潤子氏の災害講演会も、その大切な取り組みの一つです。

「もしもの時に、自分と動物をどう守るか」

その知識は、自分自身のためだけでなく、大切な家族である動物たちを守る力になります。

ぜひ多くの皆さまにご参加いただき、一緒に考える機会にしていただければ幸いです。

a-hands 代表
宮下 めぐみ

著者について

宮下めぐみ

宮下めぐみ

麻布大学 獣医学部卒業  一般財団法人a-hands 代表理事 株式会社m-hands 代表取締役 東京都獣医師会 理事 ヤマザキ動物看護大学 非常勤講師 キャリアコンサルタント 「どうぶつとその周りの人を幸せにする」を信条とし、西東京市のエルザどうぶつ福祉病院の院長として診療を行う傍ら保護どうぶつの保護譲渡活動や獣医師会の社会的活動に従事している。自身でもチワワのクレア、保護ネコのリム、スイをかわいがっている。
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