獣医師向けコラム

譲渡を進めるための工夫 ~写真や動画の工夫~

執筆者: 宮下めぐみ

公開日:

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譲渡を進めるための工夫

~写真や動画の工夫~

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今回は里親募集に必要な写真や動画にについてお話します。

写真にしても動画にしてもそのどうぶつが魅力的に見えるように撮影することが大事です。

もちろんその環境やどうぶつの体調、馴化がどのぐらいできているかなどによって十分な撮影ができない場合もあると思いますし、プロではなくほとんどの場合、素人が撮影するので、それほどレベルが高いものではないのが前提ですが、それでも工夫しないより、工夫した写真や動画の方が譲渡が進むことを実感しています。

私の病院では、以下のような点に気を付けています。

●写真や動画の背景

・なるべく明るくきれいな場所

・どうぶつの横にかわいい玩具、かわいい小物などあると可愛さの相乗効果となる。

・キャットタワー、ベッド、毛布などがあると温かい背景になる。

・外に出れる子などは芝生とか花壇などの自然な背景もよい。

●動物の目線や表情

・カメラ目線になるようにオヤツや猫じゃらしなどの利用や声かけをする。

・楽しそうな表情がいいので一緒に遊んであげる時の撮影もよい。

・全身を撮影するよりも顔をなるべくアップにさせる。

そして、インスタグラムなどのSNSの場合、写真より動画の方が断然そのどうぶつの魅力を伝えやすく、譲渡が進みやすい事を実感しています。

あるアメリカの調査では1分間の動画で約180万文字の情報を伝えられるという結果があるそうです。

いくら文字を連ねても、魅力的な動画にはかなうものはないと思います。

また、私の病院の閲覧数から以下のような傾向がわかりました。

●閲覧数が多くなる動画のパターン

・どうぶつの顔がはっきり映っている。

・どうぶつが何かしらの理由で鳴いている。

・人とどうぶつが一緒にいて何かやりとりがある。(甘えているとか、抱っこされているとか、人が説明しているなど)

・どうぶつ同士が一緒いて何かやりとりがある。(じゃれているとか、やや喧嘩気味とか、対面して緊張しているなど)

・どうぶつが活き活きと動いている。(玩具で遊ぶ、ちゅーるを食べてるなど)

また、以下のような動画編集も効果的です。

●写真や動画を編集する工夫

・どうぶつのセリフを文字で動画に入れる

・背景をかわいく加工する

・楽しそうな音楽を入れる

このように工夫して魅力的に撮影した写真や動画に、個性的なプロフィールや心が温まるような背景を本文にいれていきます。

また、なるべく普段から里親募集の投稿以外でも、ここの投稿は動物がかわいくとれている!とか、動物が楽しそうで見ていると楽しい!と思ってついつい見てしまうような投稿を毎日でも更新していき、動物好きな人に沢山閲覧してもらうように投稿数を重ねることも重要です。

このように保護どうぶつをアピールするためには沢山の撮影時間や動画の編集などが必要になるので手間はかかりますが、その分、里親希望のご連絡をいただいた時には嬉しさもひとしおになります。

私の病院では動画や写真はスタッフが隙間時間に撮ってくれているので、里親さんが決まった時はスタッフもとても喜びますし、またそれが次の撮影をするモチベーションに繋がっているようです。

譲渡を進める工夫について、またアイディアがたまってきたらご紹介します。

著者について

宮下めぐみ

宮下めぐみ

麻布大学 獣医学部卒業  一般財団法人a-hands 代表理事 株式会社m-hands 代表取締役 東京都獣医師会 理事 ヤマザキ動物看護大学 非常勤講師 キャリアコンサルタント 「どうぶつとその周りの人を幸せにする」を信条とし、西東京市のエルザどうぶつ福祉病院の院長として診療を行う傍ら保護どうぶつの保護譲渡活動や獣医師会の社会的活動に従事している。自身でもチワワのクレア、保護ネコのリム、スイをかわいがっている。
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