お知らせ

「小笠原ネコプロジェクト 紹介レポート」

執筆者: a-hands 事務局

公開日:

一般財団法人どうぶつ福祉a-hands代表の宮下獣医師は東京都獣医師会の会員として、このプロジェクトに参加し、活動しています。

この小笠原ネコプロジェクトの活動についてご紹介します。

(小笠原ネコプロジェクトとは)

「小笠原諸島の豊かな生態系を守りながら、ネコの命も救う」

ことを目的とした取り組みです。

(公社)東京都獣医師会の協力のもと、小笠原の山林で捕獲されたノネコ(野生化したネコ)を東京の動物病院へ搬送し、健康チェックや不妊去勢手術、人馴れのトレーニングを経て里親をみつけ、譲渡につなげています。

小笠原の集落では、飼いネコを役場に登録し、室内で飼うことを推進しています。

これらの活動により、ネコによる島の希少な野生動物(特に鳥類)への被害を減らしつつ、ノネコの命も守ることができます。

(小笠原諸島とは)

東京の南1,000Kmに位置する主な島だけでも30あまりある島々で、東京都に属します。
その中の父島には約2,000人、母島には約500人の人々が生活しています。

小笠原諸島は、大陸と一度もつながったことがない海洋島で、ここにしかいない希少な動植物が多く生息・生育しています。
また、2011年6月には世界自然遺産に登録されました。


【父島 展望台からの風景】©小笠原村観光局


【母島 全景】       ©小笠原村観光局


【父島 メインストリート】©小笠原村観光局


【おがさわら丸】     ©小笠原村観光局

(小笠原のノネコとは?)

島にペットとして、また、ネズミ退治のためなどに持ち込まれ、捨てられたり、逃げ出したりして野生化したネコのことです。
毛色もさまざまで特定の模様はなく、瘦せていますが、外見は普通のネコと変わりありません。

温暖な気候の小笠原では一年を通じて繁殖が行われ、野生動物を捕まえて生きる有能なハンターとして森の中で暮らしています。


【センサーカメラに写ったノネコ】©️小笠原自然文化研究所


【ねこ待合所に収容されたノネコ】©️小笠原自然文化研究所


【ねこ待合所に収容されたノネコ】©️小笠原自然文化研究所

(プロジェクトの始まりと活動内容)

2005年、ノネコが海鳥やアカガシラカラスバトなどの希少な野鳥を捕食し、生態系に深刻な影響をもたらしていることがわかりました。
母島南崎の海鳥繁殖地は壊滅的な状態で、アカガシラカラスバトはわずか約40羽にまで減少してしまいました。

ノネコによるこの問題に対応するため、環境省・林野庁・東京都・小笠原村など行政、地元NPO、島民ボランティアなどが連携し、東京都獣医師会の協力を得てこの活動が始まりました。


【地上で採餌するアカガシラカラスバト】©️小笠原自然文化研究所


【カツオドリ】   ©小笠原村観光局


【ハハジマメグロ】      ©小笠原村観光局


【オガサワラヒヨドリ】   ©小笠原村観光局

(島での主な活動内容)

1.山中にセンサーカメラを設置し、ノネコの生息状況を定期的に確認します。

2.箱罠を仕掛け、ノネコを捕獲し、一時飼養施設「ねこ待合所」へ移送します。

3.受け入れ先の動物病院が決まったネコから、定期船おがさわら丸で東京都獣医師会に所属する動物病院へ運びます。

4.島の飼いネコに対しては、登録やマイクロチップの挿入、不妊去勢手術、室内飼養の推進を行っています。

(活動体制)

このプロジェクトは、環境省・林野庁・東京都・小笠原村・NPO法人小笠原自然文化研究所と(公社)東京都獣医師会によって行われています。

また、小笠原海運株式会社、地元飼い主の会、富士フィルムVETシステムズ、共立製薬株式会社など数多くの団体の協力によって支えられています。

(東京での里親探し)

島から東京の動物病院へ運ばれたノネコたちは、それぞれの病院で、獣医師の判断により必要とされる健康診断、傷病治療、不妊・去勢手術・馴化(人慣れ訓練)ケアなどが行われます。

その後、里親募集を行い、新しい飼い主さんとの出会いを待ちます。

【ケア(爪切り)の様子】  ©️新宿動物病院

【初めてのシャンプー】

【健康管理(体重測定)】

【哺乳】

【馴化の様子】

【馴化の様子】

(プロジェクトの成果)

2024年までに 1,000頭以上のノネコを保護し、絶滅の危機にあったアカガシラカラスバトも、約40羽から400~600羽にまで回復、母島の海鳥繁殖地も復活してきています。

島の飼いネコも、不妊去勢手術を行うことや室内飼養をはじめとした適正飼養が浸透しています。

ノネコたちは殺処分ではなく、東京の動物病院でケアと訓練を受け、里親のもとで新しい生活を始めています。

👉 詳細はこちら:

小笠原ネコプロジェクト! – Ogasawaraneko

(まとめ)

小笠原は、「人とペットと野生動物が共に暮らせる島」を目指しています。

この活動は、行政・団体・島民・獣医師が協力して進めている大切な取り組みです。
「自然・どうぶつ・人」が共に生きる未来のために、私たち一人ひとりにもできることがあります。

寄付や情報シェア、イベント参加などを通じて、ぜひ、この活動の応援をお願いいたします。

私たち一般財団法人どうぶつ福祉 a-handsもこの小笠原ネコプロジェクトを応援し続けます。どうぶつたちの命と自然環境を守るこの活動が広まり、継続するように。

 

👉小笠原からきた猫、ナルト君の里親募集はこちら:

なると | 一般財団法人どうぶつ福祉 a-hands

(イベントの開催)

2025年8月から富士フイルムVETシステムズ株式会社による「小笠原保護猫フォトコンテスト~守りつづけて20年~」が開催されており、小笠原から保護猫を迎えたご家庭による写真投稿が募集されています。

👉 詳細・応募はこちら:

「小笠原保護猫フォトコンテスト~守りつづけて20年~」作品募集のご案内 | 富士フイルム [日本]

 

random wan nyan frame ふみ(写真:右下)
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