めぐみの想い

子猫の保護・譲渡シーズンを終えて ~動物病院での保護譲渡を推進する理由~

執筆者: 宮下めぐみ

公開日:

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子猫の保護・譲渡シーズンを終えて

~動物病院での保護譲渡を推進する理由~

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ご存じのとおり春になると猫たちの繁殖シーズン。

子猫が沢山生まれる季節になります。

それに伴い春は子猫の保護も増え、当院でもミルクを飲んでいる子猫や離乳食を始めたばかりの子猫を何頭か保護しました。

 

しかし、保護される子猫はほとんど野良猫から生まれます。

その場合、健康状態がすべて良好な子ばかりではありません。

 

感染症で目ヤニ鼻水くしゃみが多い子猫も多くいますし、ほとんどの場合、お腹の寄生虫を持っていて、皮膚にノミが多く寄生している事も多いです。当然、栄養状態も悪い子も。

 

このような感染症や寄生虫を持っている場合、

月齢が小さいほど容態が変わりやすく、朝は元気だったとしても夜には瀕死の状態になる事も多くあります。

また、結膜炎などの症状が長引くことで目が見えないなどの後遺症が残ることもあります。

 

当院でこの春に保護した子猫もひどい下痢をしている子や、目ヤニやくしゃみが多い感染症にかかっている子もいました。

 

もちろん動物病院なのですぐに検査や治療に入る事ができます。

 

【例:感染症にかかっている子の初期医療やケア】

検査⇒ウイルス検査、糞便検査、身体検査

治療⇒目薬の投与、インターフェロンの投与、抗生剤の投与、駆虫薬の投与、ノミダニ駆除薬の投与。脱水状態などによって皮下点滴。

ケア⇒目ヤニや鼻水の除去、複数回のミルクや離乳食、適度な温度管理。ノミや寄生虫の卵の除去目的のシャンプー。

 

これらの治療はその時の子猫の体調や症状によって頻度や回数も異なります。

その子の状態によって臨機応変に検査や治療ができるのは動物病院での保護ならでは。

 

健康状態が早く万全になれば、譲渡もそれだけ早まるので子猫のためにもなります。

 

多少、後遺症が残ったり疾患があったとしても獣医師であれば、その後の治療やケアを譲渡時にきちんとお伝えする事ができます。

 

動物のためにも飼い主さんのためにも動物病院での保護・譲渡は安全、安心なのです。

著者について

宮下めぐみ

宮下めぐみ

麻布大学 獣医学部卒業  一般財団法人a-hands 代表理事 株式会社m-hands 代表取締役 東京都獣医師会 理事 ヤマザキ動物看護大学 非常勤講師 キャリアコンサルタント 「どうぶつとその周りの人を幸せにする」を信条とし、西東京市のエルザどうぶつ福祉病院の院長として診療を行う傍ら保護どうぶつの保護譲渡活動や獣医師会の社会的活動に従事している。自身でもチワワのクレア、保護ネコのリム、スイをかわいがっている。
random wan nyan frame ルナ(写真:左)
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