獣医師向けコラム

譲渡活動を始める2 ~センターとの契約~

執筆者: 宮下めぐみ

公開日:

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譲渡活動を始める2 ~センターとの契約~

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今回はセンターとの契約概要についてお話します。

自治体やそのセンターによって異なると思いますが、a-handsが登録団体になった埼玉県の動物指導センターから渡された譲渡実施要領には以下のような内容が書かれています。

※コラム用に簡略化しています。

【 登録団体について 】

・動愛法、狂犬病予防法、各種法令を遵守すること。

・適切に飼養管理できる施設を有していること。

・保護どうぶつを譲渡する場合は、営利を目的として金品を授受してはいけないこと。

・センターは飼養施設の調査をすることができ、不適切な場合は譲渡の中止や譲渡動物の返還を申し出ることができること。

などです。

動物病院がセンターの保護どうぶつを譲渡する際の、避妊去勢やワクチンなどの適切な医療費をいただくことは営利には該当しないとのことでした。

“適切な医療費”とはどのぐらいの金額なのか?

はわかりませんが、ひょっとしたらセンターでは基準を持っているのかもしれません。

また、登録団体として譲渡する里親さんの条件は以下のような内容でした。

※こちらもコラム用に簡略化しています。

【 里親の条件 】

・動愛法に基づき、動物を適正に飼養できる人

・その動物を終生飼養し、繁殖抑制の措置をし、疾病の予防等、動物の飼養に関する基本的な事を守れる人

・犬については、狂犬病予防注射を接種し飼育について周囲に迷惑をかけない人

・飼養に関して家族全員の同意がある人

いずれも当たり前のことですが、この当たり前のことができないことで、全国各地で多頭飼育崩壊や動物の虐待が発生していることは事実です。

飼い主だけでなく、たくさんの動物、また地域の人の安全や公衆衛生を守るためには、譲渡者が譲渡の際に上記の点をきちんと説明し、しっかりと心構えを持っていただき、里親さんになっていただくことはとても重要な事です。

それを思うと、やはりこれらの事をきちんと説明できる動物の専門科である獣医師が保護どうぶつを譲渡することは、里親さんも安心ですし譲渡前後の不妊手術や予防などの医療もスムーズに行えるので、人とどうぶつとのより良い共生につながる事なのだろうと思います。

著者について

宮下めぐみ

宮下めぐみ

麻布大学 獣医学部卒業  一般財団法人a-hands 代表理事 株式会社m-hands 代表取締役 東京都獣医師会 理事 ヤマザキ動物看護大学 非常勤講師 キャリアコンサルタント 「どうぶつとその周りの人を幸せにする」を信条とし、西東京市のエルザどうぶつ福祉病院の院長として診療を行う傍ら保護どうぶつの保護譲渡活動や獣医師会の社会的活動に従事している。自身でもチワワのクレア、保護ネコのリム、スイをかわいがっている。
random wan nyan frame ルナ(写真:左)
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