獣医師向けコラム

動物福祉と動物愛護の違いって?

執筆者: 宮下めぐみ

公開日:

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動物福祉と動物愛護の違いって?

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「そんな事いまさら!」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、先日ある獣医師の会でこの話題を振ったところ知らない人が多かったので、ここで書いておこうかと思いました。

「動物愛護」⇒人の感情に基づく

人間の感情主体で「かわいい」「かわいそう」などの考え方。
なので個人の意思や考え方によって変わります。

「動物福祉」⇒動物の立場を尊重

その動物の習性を理解し適正に管理された状態で、動物の精神も肉体も健全な状態にするという考え方。
科学的根拠をもとに整えます。

ご存じだと思いますが、動物福祉については代表的な基準として「5つの自由」という考え方があります。

1. 飢えと渇きからの自由

2. 不快からの自由

3. 恐怖や抑圧からの自由

4. 痛み、傷害、病気からの自由

5. 正常な行動を表現する自由

公益社団法人 日本動物福祉協会のPDFがとても分かりやすいので参考にしてください。

https://jaws.or.jp/…/23f682d1b88799c7a7bf0b3d63f3b02a.pdf

現在、一部の世論では「動物愛護法」も「動物福祉法」に変更するべきだとの意見が出ている状況です。

確かに動物愛護は人目線の考え方になるので個人の感情になり、基準を作ることが難しいので法律としてはどうか?という矛盾がでてきますよね。

私は東京都獣医師会の役員をしていますが、当会の一部の規則も「動物愛護」を「動物福祉」に最近は変更したりしています。

そして、なにを言いたいのかというと、各分野で「動物の科学的根拠」を提示する事は動物に対しての国家資格をもった「獣医師」が主体になることは必然でしょう。

保護どうぶつも含め、家庭どうぶつや実験動物、産業動物、野生動物など様々な動物に関わる各分野で獣医師が「個人の感情ではなく動物福祉の観点を持って」関わっていくことが重要ですし、それによって飼い主と動物との共生の未来も開けていき、その結果、多くの人の幸せに繋がるのだと私は信じています。

著者について

宮下めぐみ

宮下めぐみ

麻布大学 獣医学部卒業  一般財団法人a-hands 代表理事 株式会社m-hands 代表取締役 東京都獣医師会 理事 ヤマザキ動物看護大学 非常勤講師 キャリアコンサルタント 「どうぶつとその周りの人を幸せにする」を信条とし、西東京市のエルザどうぶつ福祉病院の院長として診療を行う傍ら保護どうぶつの保護譲渡活動や獣医師会の社会的活動に従事している。自身でもチワワのクレア、保護ネコのリム、スイをかわいがっている。
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